Sentimental boys 「青春が過ぎてゆく」に寄せて

「青春が過ぎてゆく」

なんて不条理な言葉だろう、と思う。

人は失くしてから、過ぎてから気付く事が多い生き物だ。
「あぁ、青春が過ぎてゆくなぁ」なんて悠長に眺めていられる人なんていない。

だからこのタイトルには矛盾すら感じるのだけど
抗うことも巻き戻す事もできない時間の流れを受け入れて
出来るだけ優しく、綺麗に包むとこの言葉に行き着くんだと思う。

大人にはなりきれず
子供のように駄々もこねる事も許されず
そんな中で自分というものを形成していく

ここからだという合図もなく始まり
自分の意思とは関係なく終わっていくけれど
後に振り返ると青く柔く眩しく揺らいでいる蜃気楼のような時間や

後悔して、いずれ懐かしく感じて、そのうち笑えるようになって
いつか忘れて行ってしまう
そんな愛おしい記憶のことを『青春』と呼ぶ。

くだらないことに一生懸命な日々や
くすぐったくなるような友情や
甘酸っぱい、という表現だけではまだ片付けられない恋愛も
とても身近に、そして遠くに感じられる作品。

『綺麗って時に残酷じゃない?』(「春の海で」より抜粋)

作詞作曲を手掛ける櫻井の視点にはいつもハッとさせられてしまう。
今、振り返って見る「青春」はきっと綺麗で残酷なもので
春は儚く、切ない季節なのだと思ってしまう。

あなたの愛おしい日々のそばに。
そして後悔と思い出に寄り添ってくれる
2017年春、必携の1枚。